ハインリッヒの法則

こんにちは!スギさんです。

あなたはハインリッヒの法則というものをご存知でしょうか。

製造業や物流業に従事された方ならよくご存知だと思います。

全国安全衛生週間が今年も7月1日から展開されますがその際に引用される数字のことです。

1:29:300の法則

1つの重大災害の背後には、統計上29件の軽微な災害があり、

さらには300件の結果にこそ出てこないヒヤッとする出来事が隠れていると言われています。

これをもう少しわかりやすく言うと、1日に1回うっかりミスを犯す人は、1ヶ月(29日)に1回小さな怪我を自分でしたり、人にさせたり、物を壊したりします。そして1年(300日)に1回、自分が死んだり大怪我をしたり、人を死なせたり大怪我をさせたり、百万円・千万円・億円単位の、もしくはそれ以上の物損事故を起こすと言うことです。

したがって、災害を未然に防ぐには、まずは身の回りに潜む、日常茶飯に起こりうる

ヒヤッとすること、

ぞっとすること、

ついうっかりやってしまうこと、

そんなことを一つひとつ潰してゆくことが大切なことだと言われています。

数字というものは結構正直なもので私の身の回りでもそれに該当することがあるものです。

昨年、60歳の手習いで1月から5月までの4か月間、アルバイトで神奈川県のA運送会社と都内のB陸送会社に勤務した時のことです。

1社目で担当した仕事は都内の各客先にコピー用のトナーや用紙を配送することでした。

車の運転は慣れているものと思い込み、どちらかといえば好きな方でしたので軽い気持ちで始めたのでしたが、それがよくありませんでした。

どんな仕事でもそうですが、見るとやるとでは大違いです。

実際におきたことはこんなことです。

1週間の見習い期間を終えて、単独乗務を始めた初日のことでした。

約20㎏のコピー用紙の入った段ボール箱を台車に乗せてビルの中に運び込もうとしたとき、

作業標準である台車のストッパーをかけることを忘れていました。

ほんの一瞬目を離したとたん、緩い勾配を台車が動き始めるやいなや、やがて暴走、高さ1メートルの階段の下へ落下し荷崩れとなりました。

10箱あった段ボール箱2箱に傷が入り、裂け目から純白のコピー用紙が露出していました。

梱包が壊れた2箱の段ボールに収められた商品は、お客様へ売り物として納品することは許されません。

そのまま集配センターへ持ち帰り、廃却伝票と事故報告書を提出、職長からの「教育的指導」を受けてその日の作業を終えました。

翌朝一番は欠品で大迷惑をおかけしたお客様に補充品をお届けです。

女性社員の方が応対していただきましたが、平謝りに謝った結果、反対に先方から恐縮されてしまいました。

どちらかといえば男性的なところがあるものの、笑顔の素敵なチャーミングな方でした。

それ以降、毎週水曜日の朝一番に納品にお邪魔することが楽しみになったものでした。

「災い転じて福となす」、勇気を振り絞って正面から謝罪した甲斐がありましとた。

今回の荷崩れ事故は大事には至らず結果オーライ、一安心でしたが、油断は禁物です。

台車は水平な場所に止めるもの。

止める際には必ずストッパーを掛けるもの。

時間には余裕を持つもの。

等々、反省することは山積です。

転んで額にタンコブ

二件目の災害は文字通りわが身に降りかかりました。

場所は目黒区駒場にある東京大学生産技術研究所でのことです。

納品のため建物に入ろうとしたとき、高さ5センチほどの段差に躓きました。

両手が塞がれていたため、そのまま手をつくこともできず額を石畳へ直撃。

幼少の時に転んで額にコブを作ったことはありましたが、還暦を過ぎたこの歳に同じ痛みを感じるとは夢にも思いませんでした。

若ければとっさに身を庇うこともできたのでしょうが、それすらできないわが身の情けなさを文字通「痛感」したものでした。

怪我の程度は幼少のときと同じく、コブとかすり傷でバンドエイドを貼って事なきを得ましたが、

その時にハインリッヒの法則が脳裏をかすめました。

新品トナーを廃却品と取り違え、ン万円の損害

慣れないうちは時間と作業に追われ、ついつい我を見失いがちになります。

財布や携帯電話を何の気なしに置き忘れることがありますが、そのようなことが何日もしないうちに発生しました。

配送センターでの朝の仕事は客先ごとの荷物を集荷・検品することですが、それ以前に二つやることがあります。

一つは前日に納品に向ったものの客先在庫の過多、その他の理由で持ち帰りとなった新品の商品を倉庫に戻す作業があります。

もう一つは、使用済みで空となった廃品を指定の廃却場所に搬入する作業があります。

因みに廃却場所へ搬送する廃品と、倉庫へ戻す新品の商品は段ボールケースに梱包されているため、外見だけでは区別が出来ません。

察しのいい方はもうお分かりだと思いますが今回のミスは倉庫に戻すべき新品の商品を、廃品置き場に誤って持ち込んでしまったことでした。

数分後に気が付き、慌てて廃品置き場へ駆け付けましたが、後の祭り、私の「忘れ物」は廃品の山に埋もれて捜索不能の状態になっていました。

はっきりした価格は教えてもらうことはありませんでしたが、一本4~5万円だった様な気がします。

この時はさすがに「教育的指導」だけではすみませんでした。

職長からはかなり激しく叱責を受けたことは言うまでもありません。

A運送会社ではわずか1か月もしないうちに3件の負傷事故と物損被害を出しました。

自分なりに反省をして個々の作業は慎重を重ねるようになり、その後一か月以上は平穏無事な日々を送ることができたかに思えました。

ところがそんなことも束の間、あわやの接触事故や2回目の荷崩れを起こしそうになったためA運送会社は2か月半で退職することにしました。

陸送業に再挑戦!

安全のため運送業は断念したとは言え、日々の生活のため収入を得る必要があります。

過去の経験を生かした経理や資材調達の仕事がすぐにあるわけではありません。

まして61歳の高齢ではなかなか就職口があろう訳がありません。

そこで、都内のB陸送会社に応募して再就職することになりました。

陸送という仕事は、車を指定の場所から指定の場所へ移動させることです。

運送業と違い、荷物の積み下ろしがなく、体力的な負荷が少ないことが一番のメリット、だと思いました。

さらには学生時代に、2トン・3トンダンプカーの運転の経験があるため、これならできると思い再挑戦することになりました。

新車のトラックに接触、部品交換に8万円

ところがここでの仕事も実際にやってみることと考えていたこととは大違いです。

40年前に経験した2トン3トンダンプの運転感覚は忘れていることもあり、戸惑いを感じる事も多く、

さらには広幅、長尺の車両はバック、縦列駐車等の細かい操作は思い通りになりません。

また陸送という仕事は車を運転している間はまだいいのですが、保管されている場所へ辿りつくまでと指定された場所へ保管してそこから帰宅等で移動することが大変だと言うことに気づかされました。

陸送業が取り扱う車両はレンタカー会社、リース会社等が主要な客先になるものですが、車両の保管場所として広大な敷地を必要とします。

ニッポンレンタカーさんやトヨタレンタカーさんからイメージされるように、駅から歩いて0分~数分の場所ならいいのですがそうはいきません。

ほとんどの場合は事務所から数百メートル~数キロメートル、さらにはバスも来ない埋立地のハズレや山奥にあることも珍しくありません。

さらに最大の盲点であったこととして、陸送業で最も不合理なことは給与の計算が車を移動させた距離に比例することはあっても、歩いた距離は全く考慮に入れてもらえないことでした。

結局のところ、1日脚を棒にして歩いても、電車賃とバス代を差し引いて10,000円にもならない、昼食をとったらいくらも残らない、慣れないうちはそんな感じです。

B陸送会社に入って2ヶ月足らずの時でしたがレンタカー会社から2トントラックを移送しようとした時にバックで運転を誤り、他の新車トラックと接触事故を起こしました。

その時の部品の交換費用が約8万円でしたが、車両保険の免責分がドライバーの負担となり1割相当の8千円をその月の給料から差し引かれました。

4か月間で4件の軽傷と物損、1年後は?

4ヶ月間、A社とB社で車の運転の仕事に携わりましたが4件の軽傷事故と物損事故を起こしました。

このまま続けていたらどうなっていたのでしょうか?

仕事に慣れて効率よく仕事が出来るようになって1ヶ月20万円が2倍の40万円になれたでしょうか?

何事もなければ1年後2年後はそうだったかもしれません。

でも、もう一度ハインリッヒの法則の1:29:300の数値を思い出してみました。

4ヶ月間で4件の小さな事故、これは毎月1件の事故を起こしている事になります。ただそれらがたまたま軽微な事故だっただけに過ぎません。

もう一つ、うっかりミスは1日1回以下で済んだのか? とてもそうとは思えません。道を間違えた、指定の時間に間に合わなかった、

これをハインリッヒの法則に置き換えると29ヶ月(約2年)以内に重大な事故(人身事故)をおこす」 に言い換えることが出来ます。

しかも、その29ヶ月のうち4ヶ月が過ぎているため残り25ヶ月と言うことになります。

さらに小生の場合、他の章で申し上げましたが、致命的な欠陥としてアスペルガー障害という物を抱えております。

そんなこんなで、自分には車の運転は向かない、きっと他人に迷惑をかける、そう自分に言い聞かせて車の運転で生計を立てることを断念しました。

2016年6月吉日

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